簡単に塗り薬と言っても実はその種類は多種多様です。より効果を発揮するため、より使いやすくするため、医薬品メーカーも剤型には力を入れており、最近ではジェネリックメーカーでしか用意されていない剤型も存在しています。

 

今回は、塗り薬に使われる剤型、軟膏、クリーム、ローション、スプレー、ゲルについてまとめていきます。

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軟膏、クリーム、ローション、スプレー、ゲルとは?それぞれの特徴と使い分けの基本

軟膏

新油性基剤をもとに作られたものを軟膏剤と言います。

 

例外として親水性基剤軟膏も存在していますが一般的ではないため、今回は除外して話を進めていきます。軟膏剤は親油性であるためべとつくことが多いですが、その分皮膚を保護する作用に秀でています。

 

刺激が少ないため、乾燥した部位にもジュクジュクした部位にも使用される剤型です。水で洗っただけでは落ちにくい点に関しては、効果を持続させる目的からは利点と言えますが、誤って塗布した軟膏や衣服に付いた軟膏を洗い流すことは難しく、欠点とも考えられます。

クリーム

油中水型(W/O型)と水中油型(O/W型)に分けられますが、どちらにしても伸びが良く、べたつきが少なく、皮膚になじみやすい剤型です。吸収されやすいために軟膏よりも効果が早く出るとされています。

 

一般的に水に溶けやすいため洗い流すことは簡単にできますが、軟膏よりも刺激が強いため、ジュクジュクした部位への使用には向いていません。

 

軟膏との違いは水が入っているかどうかです。クリームには水が入っており、油と混ざっているため、塗りやすく、ベタつきが少ないのです。

ローション

有効成分となるものを水溶性の液体に溶かしたり、懸濁させたりして、液体状にした剤型です。

 

体毛などで軟膏やクリームでは対応しにくい部位に使用されます。液体状であるため、すぐに洗い流すことは可能であり、皮膚になじみやすいために効果も期待できますが、軟膏、クリームよりも刺激が強く、ジュクジュクした部位への使用は向いていません。

スプレー

広い部位に対応するための剤型です。乾燥した部位には適していますが、ジュクジュクした部位にはあまり適しません。

 

手を汚すことなく薬を使用することができ、背中などの手が届きにくい部分にも塗布しやすくなりますが、正常な部位にも薬剤が付着してしまう可能性があります。可燃性であるのも欠点ですね。

ゲル

主に水性基剤をもとに作られており、クリーム剤よりもさらに伸びが良く、皮膚になじみやすい剤型です。すぐに乾くのでべとつきも少なく、乾いた後には皮膚の上に膜となって長時間作用が持続します。

 

ただし、一般的にアルコール成分を含んでおり、皮膚のバリア機能が低下することでアレルギーが出やすいとも言われています。軟膏、クリームよりも刺激が強く、ジュクジュクした部位への使用には向いていません。

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それぞれの病状における使い分け

 

傷ができている場合には、患部を保護する作用がある軟膏剤が優先して使用されます。

 

蕁麻疹などの早期改善を狙っており、ジュクジュクしていない時にはクリームを優先して選択しますが、蕁麻疹であってもすでに掻き崩してしまっているのであれば、軟膏を選択することになります。

 

乾燥しやすい時期の症状であれば、長時間効果が期待できる軟膏が優先されることもあるでしょう。

医師の指示は異なることも?

 

剤型の多様さによりどんな病変にでも対応できるように進化してきた医薬品ですが、現場の皮膚科専門医のなかには、いままで確認してきた基本が通用しない処方を行う医師も存在します。

 

皮膚保護作用を期待して、頭髪があろうとも軟膏剤を使用するという例もよく見るその一例です。今回確認した基本的な部分をもとに、医師の処方意図がどういったモノであるのか、その発展まで考えていく足掛かりになれば幸いです。

まとめ

 

今回の記事で紹介した外用剤の種類とその特徴は以下のようになります。

外用剤の種類と特徴まとめ

軟膏:乾燥・ジュクジュクどちらでも使用でき、皮膚保護作用がある。

クリーム:基本的に乾燥した部位に使用され、皮膚になじみやすく効果発現が早い。

ローション:ジュクジュクには向かない。頭皮などの体毛があっても使用できる。

スプレー:手を汚さすに広範囲に使用できるが、普通の部位にも有効成分が及びやすい。

ゲル:ジュクジュクには使用できない。クリームよりもさらに伸びが良く皮膚になじみやすいがアレルギーがでやすい。

 

それでは軟膏、クリーム、ローション、スプレー、ゲルの違いと使い分けについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。