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フォシーガ(ダパグリフロジン)の作用機序と副作用|SGLT2

角砂糖

今回は糖尿病治療薬でSGLT2阻害薬の『フォシーガ』についてお話していきます。

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フォシーガとは?

 

フォシーガは世界で初めて発売されたSGLT2阻害薬です。それではまず恒例の名前の由来からいきましょう。

 

患者のため、患者家族のため、医師のため『~のため』を示す『for』と糖の吸収を阻害するのは英語で『inhibit glucose absorption』その頭文字『iga』。 この2つを掛け合わせる『x』これらを合わせてForxiga:フォシーガと命名。一般名はダパグリフロジンです。

 

フォシーガの作用を一言で言うと、「体の中の過剰な糖を尿と一緒に出す事で血糖を下げる」となります。それではまず、SGLTについて解説していきます。

SGLTとは?

 

SGLTは先ほどちょっとお話ししましたが、sodium-glucose transporterの略になります。日本語ではナトリウム・グルコース共輸送体と呼ばれます。SGLTは細胞の表面に存在するタンパク質の一つです。

 

SGLTはブドウ糖やナトリウムなどを細胞内に取り込むという働きを持っています。この働きにより、健常な方は尿に糖が出ないわけです。

 

SGLTにはサブタイプ(種類)がいくつかあり、糖の吸収に関わっているのは2つあります。1つはSGLT1で主に小腸に、もう1つはSGLT2で主に腎臓の近位尿細管に存在します。

 

それでは続いて尿が作られた後、体から排泄されるまでの流れを確認していきましょう。

尿の排泄のしくみ

 

腎臓には体に不要な物がつまった血液が送られてきます。ただ必要な物も多く入っているため、そのまま全部捨てるわけにはいきません。

 

そこで腎臓の糸球体という場所で血液を一度濾過します。糸球体は目が非常に細かいため、赤血球や白血球などの大きい物は濾過されないようになっています。

 

糸球体で濾過されたものを原尿といいますが、原尿はそのまま全て排泄されるわけではありません。なぜなら原尿は150Lもあり、さらに体に不要な物だけでなく糖分や電解質など体に必要な物も多く含まれているんですね。

 

よく考えてみてください。いきなり2Lのペットボトル75本分の水分や栄養分、塩分などが体から出て行ったらどうなるか。想像しただけでも恐ろしいですよね!

 

そこで最終チェックを行うのが尿細管という場所です。尿細管は近位尿細管、ヘンレ係蹄上行脚、ヘンレ係蹄下行脚、遠位尿細管、集合管と大きく5つに分けることができます。

 

ちなみに糸球体と尿細管を合わせてネフロンといい、腎臓1個につき約100万個存在します。

名称 再吸収される主な物質
近位尿細管 ブドウ糖、アミノ酸、電解質、水分
ヘンレ係蹄下行脚 水分
ヘンレ係蹄上行脚 電解質(Na、Cl)
遠位尿細管 電解質(Na)、水分
集合管 電解質(Na)、水分

 

それぞれの働きを簡単にまとめると、上の表のようになります。最終的に尿として排泄されるのは約1%で、1.5Lほどです。

 

糖尿病の患者さんは血糖値が高くなってくると、腎臓にたくさん糖分が送られてしまいます。その結果5つの過程(近位尿細管~集合管)でもブドウ糖が血液に戻りきれず(再吸収しきれず)尿の中に糖が残ってしまうんですね。

 

これが糖尿病と呼ばれる所以です。文字通り「糖が尿に出る病気」となります。

フォシーガの作用機序と特徴

 

もう一度表を見て下さい。

名称 再吸収される主な物質
近位尿細管 ブドウ糖、アミノ酸、電解質、水分
ヘンレ係蹄下行脚 水分
ヘンレ係蹄上行脚 電解質(Na、Cl)
遠位尿細管 電解質(Na)、水分
集合管 電解質(Na)、水分

 

ブドウ糖の再吸収を行うのは主に近位尿細管ですね。

 

SGLT1と2は糖の再吸収に関わっていますが、主に行うのはSGLT2で全体の90%を占め、SGLT1はわずか10%に過ぎません。

 

つまりSGLT2の働きを阻害してあげればブドウ糖の大部分は再吸収されず尿と一緒に排泄される。その結果血糖値は下がるという事になりますよね。これがフォシーガの作用機序になります。

 

ここまで読んだ方の中には「それはわかった。でも10%とはいえ、SGLT1も阻害すればもっと血糖が下がるんじゃないか?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

 

先ほどお話したようにSGLT1は主に小腸に存在します。SGLT1を阻害してしまうと、腸内の糖の吸収が阻害されてしまいます

 

吸収されなかった糖が大腸に到達すると、腸内細菌により発酵されガスが発生し、腹部膨満感(お腹が張る感じ)や放屁(おなら)、下痢などの症状が発生してしまいます。またSGLT1は心臓にも存在するため、心臓への悪影響も否定できません。

 

以上からSGLT2を選択的に阻害する方が、糖の再吸収を抑え、副作用も軽くすることができるということになります。

 

フォシーガはSGLT2阻害薬の中でもジャディアンスに次いでSGLT2に対する選択性が高いのが特徴です。ですが他剤と比較して血糖降下作用が優位に高いかというとそうではないのです。SGLT2は一定以上阻害する事ができれば血糖降下作用に大きな差はないと言われています。

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血糖を下げる以外の作用もある?

 

血圧、特に収縮期血圧を下げる作用があると言われています。これは体液量が減少することによるものと思われます。

 

また体重減少作用もあります。これは糖分が再吸収されず排泄されてしまうため、エネルギーを作るのに脂肪を使うことで体重が減少するのです。

注意すべき患者さんは?

 

ただし誰にでもおすすめできるかというとそうではありません。注意すべき患者さんについてお話していきましょう。

高齢者

高齢者は自覚症状に乏しいため、尿量増加により実は脱水に陥っている可能性もあります。また腎機能も低下していることが多いです。特に夏場は十分に注意する必要があるでしょう。

 

また体重減少の作用があることは上で述べましたが、サルコペニアには注意が必要です。サルコペニアとは加齢に伴う筋肉量の低下を意味します。

 

元々筋肉量の少ない痩せ型の人が服用するとサルコペニアが進行し、高齢者では転倒や骨折に繋がる可能性もあります。

ビグアナイド系、利尿剤服用中の方

メトホルミンや利尿剤との併用にも十分注意が必要です。メトホルミン(商品名:メトグルコ)はビグアナイド系と呼ばれる糖尿病のお薬です。副作用として乳酸アシドーシスがあり、それは脱水の時に出現する可能性が高くなります。

 

またラシックスなどの利尿剤もSGLT2阻害薬との併用で尿量が増加し、脱水を起こしやすくなります。

女性

膀胱炎や腎盂腎炎等の尿路感染症を起こしやすくなります。SGLT2阻害薬は尿と一緒に糖を出す。言い換えると栄養分を尿として出す、つまりそれは細菌等のばい菌からしたらごちそうなわけです。

 

糖を使って細菌がどんどん増えてしまうことで尿路感染症を引き起こす可能性があります。ただし海外では比較的多い副作用ですが、日本人では比較的少ないと言われています。

 

理由として日本人は欧米人よりも風呂に入る頻度が高いことが挙げられます。ウォシュレットがあるのも大きいでしょうね。

腎機能が悪い方

これは薬の作用が強く出るのではなく、本来の効果を発揮できないということです。

 

腎機能が低下すると原尿を作る際に糖がうまく濾過されないため、SGLT2阻害薬を服用しても尿と一緒に出す糖が少なくなり効果が期待できないのですね。

フォシーガの副作用について

 

主な副作用は脱水、頻尿、口渇、尿路感染症などです。脱水予防のため水分摂取は意識的に行うべきでしょう。いつもよりペットボトル1本分(500ml程度)は多く摂取した方がいいですね。

 

尿路感染症については水分摂取と清潔にする事が大切です。普段あまりお風呂に入らない方も、この薬が処方されたら毎日入ることをおすすめします。

 

SGLT2阻害薬はインスリンに依存せず血糖値を下げます。そのため単剤では低血糖は起こしにくいと言われています。ただしアマリールなどのSU(スルホニルウレア)系はインスリン分泌を促進するため、併用する場合は注意が必要です。

 

SGLT2阻害薬に特徴的な副作用として皮膚障害が挙げられます。現段階では皮膚障害が起こる機序はまだわかっていませんが、最近では脱水に起因するとも言われています。

フォシーガをおすすめできる人、できない人

適している患者様

男性、若い、肥満、罹病期間が短い方(腎機能が保たれている可能性が高いため)

向かない患者様

高齢者、女性、痩せている方、腎機能が低下している方(効果が期待できないため)

 

フォシーガは1日1回食前又は後に服用します。他のSGLT2阻害薬同様、全ての糖尿病薬と併用が可能です。

 

他のSGLT2阻害薬と違い、『朝』の縛りがありません。MRの方はそこを売りにしていましたが、夜間頻尿を避けるには朝に服用するのが望ましいと思いますので、正直これはあまりアドバンテージとは言えないと思います。

 

それではフォシーガについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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