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ナウゼリンの作用機序と副作用~プリンペランとの違いや使い分け、妊婦禁忌の理由

胃痛

今回は消化管運動機能改善剤のナウゼリンについてお話していきます。

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ナウゼリンとは?

 

まずは名前の由来から。吐き気は英語で”nausea”。発音は”ノージア”ですがローマ字読みしてアレンジを加えNAUZELIN:ナウゼリンと命名されました。一般名はドンペリドンです。

 

ちなみにプリンペランの名前の由来は特にないようですね。

 

ナウゼリンの効能効果、用法用量は以下です。長くなるので、OD錠と坐剤のみ記載させて頂きます。

効能又は効果/用法及び用量

下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
成人:
○慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
○抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
成人:
通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。なお、年令、症状により適宜増減する。

下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
小児:
○周期性嘔吐症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時
小児:
通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。なお、年令、体重、症状により適宜増減する。
ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。

ナウゼリンOD錠5/ナウゼリンOD錠10の添付文書より引用

 

効能又は効果/用法及び用量

ナウゼリン坐剤60
成人
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、胸やけ)
○胃・十二指腸手術後
○抗悪性腫瘍剤投与時

ナウゼリン坐剤60
成人
通常、ドンペリドンとして1回60mgを1日2回直腸内に投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。

ナウゼリン坐剤10 ナウゼリン坐剤30
小児
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、腹痛)
○周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
○抗悪性腫瘍剤投与時

ナウゼリン坐剤10 ナウゼリン坐剤30
小児
3才未満の場合、通常ドンペリドンとして1回10mgを1日2~3回直腸内に投与する。
3才以上の場合、通常ドンペリドンとして1回30mgを1日2~3回直腸内に投与する。
なお、年令、体重、症状により適宜増減する。

ナウゼリン坐剤10/ナウゼリン坐剤30/ナウゼリン坐剤60の添付文書より引用

 

ナウゼリンの作用を短く説明すると『胃腸の運動を活発にすることで、胃の内容物スムーズに腸へ運び出す』となります。それでは作用機序の前に、まずは吐き気が起こるメカニズムについてお話していきましょう。

嘔気、嘔吐が起こるメカニズム

 

嘔気、嘔吐が起こる要因はいくつかありますが、最終的に延髄の嘔吐中枢と呼ばれる部分が刺激される事で起こります。ではその嘔吐中枢が刺激される要因についてみていきます。

化学受容器引金帯

延髄第四脳室底にある化学受容器引金帯(chemoreceptortrigger zone:以下CTZ)は血液中の様々な刺激物により刺激を受けると、延髄の嘔吐中枢を刺激します。

 

CTZにはドパミンD2受容体やセロトニン5-HT3受容体など存在し、これらの受容体が麻薬のモルヒネ、ジギタリス製剤等の薬物、ドパミン、セロトニン、サブスタンスP等の神経伝達物質により刺激を受けるとその刺激が嘔吐中枢に伝ります。

前庭

平衡感覚を司る前庭に存在するヒスタミンH1受容体やムスカリン受容体が、乗り物酔いやメニエール病等により刺激を受けるとそれがCTZに、続いて嘔吐中枢に伝わります。

末梢

抗癌剤等により消化管のセロトニン5-HT3やドパミンD2受容体が刺激されると、迷走神経や交感神経を経由してCTZや直接嘔吐中枢に伝わることで嘔気嘔吐が引き起こされます。

大脳皮質

精神的要因により嘔吐中枢が刺激される事があります。例えば非常に不安な気持ちになった時や、過去に嘔吐した体験を思い出すことで大脳皮質の刺激が嘔吐中枢に伝わり嘔気・嘔吐が引き起こされます。

 

他にも脳浮腫や脳出血などで脳内の圧が上昇(頭蓋内圧亢進)すると直接嘔吐中枢が刺激されます。このような事が嘔気・嘔吐の要因として挙げられます。

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ナウゼリンの作用機序と特徴

 

消化管の運動機能が低下する理由の1つにアセチルコリン(以下Ach)と呼ばれる物質が少なくなることが挙げられます。

 

Achは副交感神経の終末から放出される神経伝達物質の一つであり、消化管のムスカリン受容体に結合すると平滑筋が収縮し、消化管の運動が促されます。

 

消化管のコリン作動性神経にはドパミンD2受容体があるのですが、そこにドパミンが結合するとAchの放出が抑えられてしまい、消化管の運動が低下します。その結果吐き気が生じてしまうのです。

 

そこでナウゼリンの登場。

 

ナウゼリンは消化管においてドパミンがドパミンD2受容体に結合するのを邪魔する作用を持ち、またCTZにあるドパミンD2受容体においても同様の作用を発揮します。

 

これにより消化管ではAchの放出が促され、消化管運動が活発になり、またCTZでは嘔吐中枢への刺激が抑えられるため、嘔気・嘔吐が抑えられるのです。

ナウゼリンの副作用

 

下痢、便秘、胸やけ、嘔吐等の消化器系の副作用があります。

 

脳には有害物質が簡単に入らないよう、血液脳関門(blood brain barrier、略してBBB)という血液と脳の間に関所のようなものが存在しています。

 

ナウゼリンはBBBを通過しにくく頻度としては低いですが、男性の乳房が女性のように膨らむ女性化乳房や乳汁の分泌、手の震えや筋肉の硬直などの錐体外路症状が現れることがありますので一応注意が必要です。

プリンペランとの違いと使い分け

 

まずプリンペランは脂溶性のため、BBBを通過しやすいという特徴があります。ナウゼリンと比較して脳に移行しやすいため、錐体外路症状や乳汁分泌などが出やすいとされています。

 

そのため、パーキンソン病の患者様ではプリンペランは症状を悪化させるため、ナウゼリンが推奨されます。

 

次にナウゼリンは妊婦に禁忌となっています。理由は動物実験(ラット)で骨格、内臓異常等の催奇形性(胎児の奇形)が報告されているためです。そのため妊婦や妊娠の可能性がある方にはプリンペランが推奨されます。

プリンペランで査定されるケース

 

最後に医療関係者向け。一般の方は読み飛ばして頂いて結構です。ナウゼリン、プリンペランともに消化管の運動を活発にする作用があるため、消化管出血のある方には禁忌となっています。

 

よく査定されるのがガスター(ファモチジン)などのH2受容体拮抗薬の注射薬とプリンペランの注射の併用です。前者は消化管出血がないと使用できず、逆に後者は消化管出血のある方には使用できません。

 

もちろんあえて使用するケースもあるのですが、最近支払基金は容赦なく査定しにきますので(笑)、一応頭に入れておくことをオススメします。

 

それではナウゼリンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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