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大建中湯の作用機序と特徴、副作用

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今回は漢方薬の大建中湯についてお話していきます。

大建中湯の名前の由来は?

 

中:体の中央部、つまり消化管を意味します。

建中:中(消化管)を建てる。つまり消化管の働きを改善するという意味です。

湯:煎じて飲むことを意味します。

以上を組み合わせて建中湯。小建中湯と比較して、相対的に体力がある人向けの処方であるため、大建中湯と命名されています。

大建中湯の作用機序と特徴

 

大建中湯は腹部膨満感や腹の痛みに対して使用される漢方薬です。胃腸の機能を回復させる効果があるため広く医療現場で使用されており、外科手術後の腸管を早期に動かすための薬としても重宝されています。

 

大建中湯に含まれている生薬は膠飴(コウイ)、人参(ニンジン)、山椒(サンショウ)、乾姜(カンキョウ)です。それらは体を温めて消化管の働きを高めてくれる効果を持っています。添付文書に記載されている効能としては以下のものがあります。

・消化管運動促進作用
・消化管過剰運動抑制作用
・イレウス抑制作用
・腸管血流増加作用
・消化管ホルモン分泌作用
・抗炎症作用

 

漢方薬の作用機序ははっきりとは解明されていない部分が多くありました。ですが、大建中湯は大規模な試験が実施され、その作用機序が明らかになってきています。

 

消化管機能を促進する効果はアセチルコリン分泌促進、モチリン分泌促進により発揮されており、バニロイド受容体を介した作用も相まって腸管運動亢進作用が発揮されています。

 

アセチルコリン:神経の刺激を伝える神経伝達物質の一つ。通常は体を休めている時に多く分泌される物質で、胃や腸においては、その運動を活発にしてくれる効果があります。

モチリン:小腸から分泌されている物質で、胃腸の働きを活発にする効果があります。胃腸の蠕動運動を活発にし、便の排泄に寄与しているホルモンの一種です。

バニロイド受容体:辛味成分のカプサイシンによって活性化する受容体です。活性化することで胃粘膜の生合成促進と胃粘液増加が起きるため、期待される効果を発揮します。また、山椒と乾姜によって腸管運動亢進作用をもつCGRPと抗炎症性サイトカイン作用を持つADMが刺激され、それらが共通して持っている末梢血管拡張作用が機能することにより、大建中湯のもつ薬効が発揮されていると考えられています。

CGRP:カルシトニン遺伝子関連ペプチドのことで、血管拡張作用を持つ神経伝達物質の一つ。

ADM:アドレノメデュリンの略称で、血管拡張作用を持つ物質です。アドレノメデュリンは様々な効果を持つ生体内物質で、抗炎症作用も得られることから、近年ではクローン病治療でも注目されています。

 

現代社会ではストレスにより腸に障害を起こしてしまう過敏性腸症候群の患者が増加傾向にありますが、そのメカニズムなどははっきりと解明されていません。そんな中でも、大建中湯の持つ消化管機能亢進作用は効果が高いとして注目されています。

 

下痢型には効果はあまり期待できませんが、便秘型や腹部の張りから下痢と便秘を繰り返すタイプには効果を期待でき、特に便秘型には非常に有効であることが明らかになっています。

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大建中湯の副作用

 

大建中湯は安全性が高い薬です。ただし頻度不明ではありますが、以下の重大な副作用に注意が必要です。

 

一つ目は薬剤性間質性肺炎。その兆候として呼吸困難、発熱、異常な呼吸音などがあります。次に、肝機能異常。肝機能検査値の異常な上昇に伴う黄疸がみられる場合があります。これらが現れた場合には速やかに服用を中止し、必要な検査を行う必要があります。

 

その他の副作用として悪心、嘔吐、下痢、腹部膨満感、腹痛、肝機能異常、発疹、蕁麻疹、胃部不快感などが報告されています。

大建中湯の注意事項

 

大建中湯はもともと液剤だったものを抽出して散剤にしたものです。ですので、服用時にはそれに即してぬるめのお湯で服用したほうが効果的だと言われています。約60度のお湯が最も効果的であり、あまりに熱いお湯では有効成分が揮発してしまうので注意しなければいけません。

 

大建中湯は体を温めていく生薬が配合されている漢方薬です。そのため、適応となる人は「腹が冷えて痛み、腹部膨満感があるもの」となっており、もともと熱があるタイプの胃炎には向きません。副作用として肝機能異常の報告もある為、肝臓に疾患を持った人も注意しながら服用したほうがいいでしょう。

 

妊娠中・授乳中の服用に関しては、データがあまり存在していないため、医師の判断によるところが大きい薬です。基本的には有効性が危険性を上回ったと考えられる場合に使用を検討されることになります。

 

それでは大建中湯については以上となります。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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