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プラビックス(クロピドグレル)の作用機序と副作用|抗血小板薬

外人親子三代

今回は抗血小板薬の「プラビックス」についてお話していきます。

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プラビックスとは?

 

まずは名前の由来からいきたいところですが、プラビックスは特にないようですね。一般名はクロピドグレルになります。

 

プラビックスの作用機序を簡単に説明すると「血小板の働きを抑えることで、血栓(血の塊)が作られるのを抑える」となります。

 

プラビックスは以下の適応を持ちます。

1.虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制
2.経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される虚血性心疾患急性冠症候群
3.末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制

 

ここでは1の脳血管障害、いわゆる脳卒中についてお話します。

脳血管障害(脳卒中)とは?

 

脳卒中図

まず脳卒中は虚血性と出血性に分類されます。前者の代表が脳の血管が詰まる脳梗塞、一過性脳虚血症(TIA)など。後者の代表が脳の血管が破れる脳出血やクモ膜下出血などになります。

ラクナ梗塞

主に高血圧が原因で起こります。脳の細い血管(穿通枝動脈)が高血圧などにより厚くなったり壊死を起こすと血管内が狭くなり、やがて詰まってしまいます。穿通枝動脈にできる直径15mm未満の小さな梗塞をラクナ梗塞といいます。

アテローム血栓性脳梗塞

こちらは高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が主な原因となっています。脳内の太い血管壁にコレステロールが蓄積するとアテロームと呼ばれる粥状の塊ができます。

 

更にアテロームが固まると血管壁が盛り上がり、プラークと呼ばれるコブを形成し、プラークが破れると血栓が作られて血管が詰まってしまいます。これがアテローム血栓性脳梗塞です。

心原性脳塞栓症

これは文字通り心臓にできた血栓が脳に運ばれて、脳内の血管が詰まってしまうタイプの脳梗塞になります。脳ではなく心臓でできた血栓が原因のため突然発症します。また症状は重いことが多いです。

 

一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks:TIA)は一時的に脳の血管が詰まってしまうことで、手足の力が抜ける、ろれつが回らない、片方の目が見えなくなるなどの症状が出現するものの、24時間以内に症状が消失する発作のことです。

 

これは血栓の大きさが小さいため、一時的に詰まっても自然に溶けるため症状が消失するのです。ただこれを絶対に放置してはいけません!

 

TIAは脳梗塞の前兆とも言われ、非常に危険な状態です。可能な限り早く病院を受診して下さい。精密検査の後、速やかに治療を開始すれば脳梗塞の発症を抑えることができる可能性が高くなります。

脳出血

主な原因は加齢、そして高血圧です。一時的に血管に強い圧がかかる位なら問題にはなりませんが、過度の圧力がかかる状態が長い間放置されると、加齢も加わり血管壁がもろくなり破れて出血します。

 

また血管壁がふくらんで小さなコブ(動脈瘤)ができると更に圧がかかりやすくなり、その一部が破裂して脳の中に出血する場合もあります。いずれも脳の細い血管でみられます。

くも膜下出血

脳は外側から硬膜、くも膜、軟膜という膜に覆われています。このうちくも膜と軟膜の間の太い血管にできた動脈瘤が破裂して、くも膜下で出血が起こり、脳を圧迫するのがくも膜下出血です。症状としては物凄く激しい頭痛と嘔吐が突然現れます。

プラビックスの作用機序と特徴

プラビックスの代謝経路

プラビックスの代謝経路はちょっと変わっているのでまずはそちらからいきましょう。

 

プラビックスの肝臓における代謝は2経路あります。1つはエステラーゼを介した経路で、この酵素により代謝されると活性を持たない物質になります。85%がこちらに流れます。

 

残りの15%はCYPを介した経路です。プラビックスはCYPにより2段階の代謝を受けることで活性を持つ物質になります。これがプラビックスの薬効、抗血小板作用を発揮します。

 

このように、プラビックスはそのままでは薬効を発揮せず、腸管から吸収された後に肝臓へ移行し、代謝されて初めて効果を発揮します。このような特性を持つ薬をプロドラッグといいます。

プラビックスの作用機序

まず前提として、血小板内のカルシウムイオン濃度が上昇すると血小板が活性化する、つまり血栓が形成されることになります。

 

血小板内にはアデニル酸シクラーゼ(以下AC)と呼ばれる酵素があるのですが、ACによりATP(アデノシン3リン酸)はcyclic AMP(サイクリックエーエムピー)に変換されます。

 

cyclic AMPは血小板内のカルシウムイオン濃度の上昇を抑える働きを持っています。

 

また血小板にはADP(アデノシン2リン酸)、セロトニンなど多くの生理活性物質が含まれており、ADPが血小板外に放出されると、ADPは血小板の表面に存在するADP受容体(P2Y12)に結合します。

 

するとADP受容体によりACの働きが抑えられてしまうのです。

 

またcyclic AMPはホスホジエステラーゼ3(以下PDEⅢ)という酵素により分解されることがわかっています。

 

PDEⅢによりcyclic AMPが分解され、その量が減ってしまうと血小板内のカルシウムイオン濃度が上昇し、血小板が活性化して凝集し、血栓が形成されてしまいます。

 

以上から血栓の形成を抑えるためには…

1.アデニル酸シクラーゼ(AC)を活性化する
2.cyclic AMPを増やす
3.ADPのADP受容体(P2Y12)への結合を阻害する
4.ホスホジエステラーゼ3(PDEⅢ)の働きを阻害する

といったことを行えばいいことがわかりますね。

 

今回のプラビックスが作用するのはADP受容体です。上記「3.ADPのADP受容体(P2Y12)への結合を阻害する」作用を持ちます。

 

プラビックスがADP受容体に結合することで、ADPがADP受容体に結合できなくなります。するとACの働きが邪魔されなくなるため、cyclic AMPが多く作られることになり、カルシウムイオンが減少します。

 

これにより血小板の活性化を抑えることができる、つまり血栓の形成を抑えることができるのです。

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プラビックスの副作用

 

血液をサラサラにするわけですから、出血しやすくなるというのは想像に難くないでしょう。そのため出血している方は禁忌となります。青あざができたり、鼻血や歯茎からの出血がみられた場合は医療機関を受診して下さい。

 

他にも胃潰瘍などの消化性潰瘍がみられる場合があるため胃薬が併用されることも少なくありません。

 

プラビックスはパナルジンの後継品です。パナルジンでみられた血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害などの副作用の発現頻度が低く、安全性が高いというのが特徴となります。

プラビックスの注意事項

 

プラビックスは絶食時の服用で消化器症状が報告されているため、可能な限り空腹時での服用は避けるようにして下さい。

 

またその作用から出血しやすくなるわけですから、手術前に一時的に服用を中止する場合があります。大手術の前は14日前、小手術の前は5日前とされていますが、病院により異なる場合があります。医師や薬剤師の指示に従って下さい。

 

先ほど作用機序の項でプラビックスはCYPにより2段階の代謝を受けるとお話しましたね。

 

上記の2段階いずれにも関わるのがCYP2C19です。CYP2C19には個人差があり、同じ薬を飲んでも早く代謝される人もいれば、なかなか代謝されない人もいます。これを遺伝子多型が存在するといいます。

 

ちなみに前者をextensive metabolizer(EM)、後者をpoor metabolizer(PM)と言います。つまりPMの患者様はプラビックスを服用しても十分な効果が得られない可能性があるということです。

 

タケプロンなどのPPIはプラビックスと同じCYP2C19で代謝されるため、併用するとお互いに酵素を奪い合うことでPPIの効果が強まり、プラビックスの効果が弱まる可能性があります。

 

やむを得ずPPI併用する場合は、CYP2C19の影響が少ないタケキャブネキシウムパリエットが望ましいと思われます。

 

ただ最近の見解では効果のバラつきはCYP2C19ではなく、パラオキソナーゼ1(PON1)という酵素に個人差があることに起因すると言われていますので、どのPPIを使用しても問題ないかもしれません。

 

それではプラビックスについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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