今回は気道粘液溶解剤の「ビソルボン」についてお話していきます。

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ビソルボンとは?

 

それではまずは名前の由来からいきましょう。ビソルボンの作用機序は後ほど詳しく説明しますが、漿液の分泌を増加させる作用、粘りの原因となる酸性糖蛋白(ムチン)を溶解するのが主な作用になります。

 

この2つの作用があることから「bi」。biは英語の接頭辞で2を意味します。わかりやすいのはbilingual(バイリンガル)ですかね。二ヶ国語を話せる人の事ですよね。

 

またSolvierenはドイツ語で溶解するという意味で、ここからSolvon。bi + SolvonでBisolvon:ビソルボンと命名されました。一般名はブロムヘキシンです。

 

ビソルボンの作用を簡単にお話すると「痰の粘りを取ることで、出しやくする」となります。それではまず痰についてお話していきます。

痰とは?

 

痰が絡むのは本当につらいですよね。ひどい時なんて頻回に咳払いして白い目で見られることも。でも痰は健康な人でも作られています。ただ量が少ないので気付かないうちに飲み込んでいるだけなのです。

 

ここでは痰の成分についてまずお話します。痰は何からできているのかというと、実はほぼ水です。概ね9割(以上)が水です。残りの約1割がムチンと呼ばれる糖蛋白になります。

 

このムチンが痰の粘りの原因となっています。ムチンが増えると粘りが増し、余計に出しにくくなるのです。

 

ムチンは気道の上皮に存在する杯細胞や粘膜下腺の粘液細胞から分泌されます。ではどういった時に分泌が盛んになるのでしょうか?

 

例えば風邪などの感染症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)。これらが原因で上皮細胞が刺激され気道に炎症が起こると、杯細胞や粘液細胞の量が増えてしまいます。その結果ムチンが多く分泌されてしまうのです。

 

痰は鼻からのどまで生えている線毛が小刻みに動く事により体外に排出されますが、気道に溜まった痰が咳受容体を刺激し、咳をする事でも排出されます。

 

痰は異物を体外に排出するのに必要なものです。しかしあまりにその量が増えたり、粘りが強くなり排出が困難になると窒息する可能性もあります。そこで薬を使って痰の排出の手助けをするのです。

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ビソルボンの作用機序と特徴

 

ビソルボンの主な作用機序は以下の2つです。

ビソルボンの作用機序

1.漿液分泌促進作用
2.酸性糖蛋白(ムチン)の溶解作用

 

まずは漿液分泌促進作用から説明していきます。粘膜下腺には粘液細胞以外に漿液細胞も存在しており、漿液細胞からは漿液が分泌されます。漿液はムチンとは反対の性質、痰をサラサラにする性質があります。

 

ビソルボンは漿液の分泌を促す作用を持ちます。これにより痰をサラサラにする事ができます。

 

続いて酸性糖蛋白(ムチン)の溶解作用。先ほどムチンが痰の粘りの原因となっているとお話しましたね。だったらこのムチンをどうにかできればと思いますよね。

 

気管分泌細胞の中にはリソソーム顆粒と呼ばれる部分があり、そこからはリソソーム酵素が分泌されます。リソソーム酵素はムチンを分解する作用を持っています。

 

ビソルボンは気管分泌細胞に作用することで、リソソーム酵素の分泌を促します。これによりムチンが分解され粘りが取れるのです。

 

またビソルボンには線毛運動亢進作用もあります。先ほど痰は線毛が小刻みに動く事で体外に排出されるとお話しましたね。だったらその運動を活発にしてあげれば、痰の排出が促される事がおわかり頂けるかと思います。

 

剤形としては錠剤、シロップ、吸入液、注射が販売されています。

ビソルボンの副作用

 

主な副作用は食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛などになります。またビソルボンの作用により痰の粘りが取れる事で一時的に痰の量が増える事があります。不安になる患者様もいらっしゃるかと思いますが、これは薬の作用によるものなのでご安心ください。

 

それではビソルボンについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。