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オルミエント(バリシチニブ)の作用機序と副作用~ゼルヤンツとの違い


今回はヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤のオルミエントについて解説します。

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オルミエントとは?

 

Olumiant:オルミエントの名前の由来ですが、こちらは特にないようですね。一般名はバリシチニブになります。

 

オルミエントの作用を簡単に説明すると「ヤヌスキナーゼという酵素を阻害することで、リウマチの原因の1つである炎症性サイトカインの生成を抑制する」になります。

 

続いて関節リウマチについてお話していきましょう。

関節リウマチとは?

 

関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:略号RA)とは自己免疫疾患の一つであり、免疫の誤作動により関節が破壊され、関節変形や種々の痛み・腫れ・こわばりを生じてしまう疾病です。

 

一般的にはリウマチという疾病は、全身の筋肉や骨など、全身的な炎症を起こすものとして知られています。

 

このうち、特に関節での症状を起こすものを関節リウマチとして区別しているのです。関節リウマチは左右対称性に発症しやすいことが特徴としてあげられます。

 

関節リウマチは男性よりも女性に多く発症するものであり、30代から40代の女性に多く見られます。中には60歳を超えてから発症する高齢発症関節リウマチや15歳未満で発症する若年性関節リウマチも存在しています。

 

関節リウマチは自分の体を守るための免疫が、何らかの原因によって自分の体に対して攻撃を始めたことによって起きています。

 

原因と言われているものはストレスや感染症などがありますが、はっきりとはわかっていません。免疫によって破壊された関節は修復と破壊を繰り返し、腫れやこわばりを伴って痛みを起こしてしまうのです。

 

関節リウマチの治療は、痛みと炎症に対してNSAIDsやステロイド剤を用い、長期的に関節リウマチの症状を抑えるため疾患修飾抗リウマチ薬(disease modified anti-rheumatic-drugs:DMARDs)や生物学的製剤を用いて対応していくことになります。

 

一般的に関節リウマチは完治することはなく、一部の医薬品を除いて症状を改善させる効果は薄く、悪化を抑える対症療法を行うことになります。

オルミエントの作用機序と特徴

 

オルミエントはヤヌスキナーゼ(JAK)1およびJAK2に高い親和性を持つJAK阻害薬です。日本ではゼルヤンツに続いて二つ目のJAK阻害薬であり、リウマチ治療の新たな選択肢とされています。

 

リウマチは一度破壊されてしまった関節などは元通りになることなく、現在の医療技術では完治することもできない疾患であるため、進行させずに現状を維持することが最大の目標となります。

 

リウマチの治療としては、痛みと炎症を取り除くことを中心に、免疫を抑制することによって症状の進行も抑制する方法があります。

 

免疫を抑制する方法は様々ありますが、オルミエントの作用機序は既存の免疫抑制薬とは異なり、免疫細胞内の刺激伝達酵素であるヤヌスキナーゼを阻害することで効果を発揮する薬です。

 

リウマチ患者の体内では、健常人と比べて炎症性サイトカインの分泌が過剰になっており、この炎症性サイトカインが免疫細胞を刺激して、さらに炎症性サイトカインを分泌するというマイナスのスパイラルを起こしています。

 

ヤヌスキナーゼは免疫細胞内にある酵素で、炎症性サイトカインによる刺激を伝達する役割を持っています。

 

炎症性サイトカインによる刺激が免疫細胞に伝わると、免疫細胞内でヤヌスキナーゼがリン酸化され、その過程でシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)もリン酸化されます。

 

リン酸化されたシグナル伝達兼転写活性化因子は免疫細胞の核に移行し、各種炎症性サイトカインの合成を開始するスイッチとして働きます。

 

オルミエントはこの反応の始まりであるヤヌスキナーゼの働きを阻害することによって、免疫細胞の働きを阻害する作用を持ちます。

・ヤヌスキナーゼ(JAK):チロシンキナーゼの一種で、現在はJAK1・JAK2・JAK3・Tyk2の4種が存在を確認されている。炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)などによる刺激が免疫細部に加えられた時、免疫細胞内でリン酸化され、対応するシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)をリン酸化する酵素。

・チロシンキナーゼ:タンパク質に存在するアミノ酸(チロシン)をリン酸化する酵素。細胞の増殖や分化、免疫反応に関係するシグナル伝達に関与し、悪性腫瘍や乾癬、リウマチなどの患者では過剰に働いていることが多い。

・シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT):現在は7種類の存在が確認されている。細胞の増殖や分化、免疫反応によるシグナル伝達を担当する分子であり、リン酸化されることで活性化し、細胞核内に移行して遺伝子転写を促進する。

 

オルミエントは腎排泄型の薬です。常用量は「4mgを1日1回経口投与」となっていますが、腎機能の程度により以下のように対応します。

・腎機能障害の程度:正常又は軽度
推算糸球体ろ過量(eGFR:mL/分/1.73m2):eGFR≧60,投与量:4mgを1日1回投与

・腎機能障害の程度:中等度
推算糸球体ろ過量(eGFR:mL/分/1.73m2):30≦eGFR<60,投与量:2mgを1日1回投与

・腎機能障害の程度:重度
推算糸球体ろ過量(eGFR:mL/分/1.73m2):eGFR<30,投与量:投与しない

オルミエント錠4mg/ オルミエント錠2mgの添付文書より引用

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オルミエントとゼルヤンツの違い

 

まずは服用回数。ゼルヤンツが1日2回の服用だったのに対し、オルミエントは1日1回の使用でOKです。

 

また代謝経路にも違いがあり、ゼルヤンツは肝代謝型、オルミエントは腎排泄型となります。

 

そして併用薬について。まずゼルヤンツはCYP3A4、CYP2C19で代謝されますので、併用中に薬が数多くある一方、オルミエントは後述しますが、プロベネシド1剤のみとなっています。

 

またゼルヤンツは過剰な免疫抑制、感染リスク上昇の可能性があるとのことで、各種免疫抑制薬は併用不可とされていましたが、オルミエントでは免疫抑制薬に関する併用制限はありません。

 

どちらも既存の抗リウマチ薬よりも効果的だという報告があるため、患者の状況等から判断して使い分けがされていくものと考えられます。

オルミエントの副作用

 

副作用には注意すべきものがあります。稀ではありますが、起こった時に迅速に対応できるようにしておきましょう。

 

オルミエントにより免疫が低下することで感染症に罹患しやすくなってしまうため、結核や敗血症、帯状疱疹などがみられる場合があります。

 

もし以下のような症状が現れた場合は服用を中止して病院を受診するようにして下さい。

・結核、敗血症の初期症状:発熱や咳、のどの痛み、息苦しさなど

・帯状疱疹の初期症状:発疹や痛み、しびれなど

 

続いて消化管穿孔。胃や腸に穴が空くというものです。

・消化管穿孔の初期症状:胃の痛み、黒色便、空腹時のみぞおちの痛み、激しい腹痛など

 

あとは肝機能障害についても知っておきましょう。

・肝機能障害の初期症状:体がだるい、皮膚や白目が黄色くなる、食欲低下、微熱など

オルミエントの相互作用と注意事項

 

オルミエントで気を付ける必要があるのはベネシッド(プロベネシド)のみ。

 

オルミエントはP-糖タンパク質を含む様々なトランスポーターの基質として働き、またCYP3A4の基質としても働いています。プロベネシドと併用することで、オルミエントの血中濃度が約2倍に上昇したという報告があります。

 

また、妊婦の方は催奇形性の報告があるため禁忌となっています。また使用終了後も1月経周期(個人差あり)は避妊する必要があります。

 

それではオルミエントについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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