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アトーゼット(エゼチミブ・アトルバスタチン)の作用機序と副作用


今回は糖尿病治療薬のアトーゼットについて解説します。11月中頃に薬価収載され、2018年2月~3月頃に発売される見通しです。

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アトーゼットとは?

 

商品名 一般名 分類
Zetia:ゼチーア Ezetimibe:エゼチミブ 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
Lipitor:リピトール Atorvastatin(アトルバスタチン) HMG-CoA還元酵素阻害薬

アトーゼット:ATOZETは上記2剤の合剤になります。

 

名前の由来は皆さんおわかりですね?成分のアトルバスタチン(Atorvastatin)とエゼチミブ(Ezetimibe)の下線部を組み合わせて命名されています。

 

主な作用は以下の2つ。

・胆汁や食事由来のコレステロールが小腸から吸収されるのを阻害することで血中コレステロールを下げる
・肝臓内でHMG-CoA還元酵素の働きを邪魔することによりコレステロールの合成を抑える

 

それではまず脂質異常症について簡単に説明していきます。

脂質異常症とは?

 

脂質異常症は以前は高脂血症と呼ばれていた病気です。詳しくはこの後説明しますが、悪玉であるLDLコレステロール、中性脂肪の多くを占めるトリグリセリドが高いと、一方善玉のHDLコレステロールが低いと動脈硬化を生じやすくなります。

 

HDLは低いと問題なのにそれを高脂血症と呼ぶのはおかしいですよね。そこで脂質が異常値を示している病気という事で脂質異常症と改められたのです。

 

脂質異常症は脅すわけではありませんが、動脈硬化の原因となるため非常に危険です。動脈硬化が進行すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす可能性が高くなります。

 

脂質異常症は採血しないと値がわからない上自覚症状がほとんどなく、気付いた時にはかなり進行しているといった事が少なくないため、サイレントキラーと呼ばれることもあります。

 

ただコレステロール自体は細胞膜の構成成分であったり、ホルモンの材料であるなど私達の体になくてはならないものなのです。

 

私達の体内のコレステロールの内訳は通常食事から2~3割、肝臓での合成が7~8割となっています。仮にコレステロールを食事から多く摂り過ぎた時は肝臓での合成が抑制され、一定の値になるよう調節されています。

 

しかし何事もほどほどが大切。不規則な食生活やアルコールの過剰摂取、運動不足、喫煙、ストレスなどにより脂質異常症が引き起こされます。

 

それでは脂質の値がどれくらいだと異常なのか。下の診断基準をご覧下さい。

脂質異常症の診断基準(空腹時)

LDL(悪玉コレステロール) 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDL(善玉コレステロール) 40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
TG(中性脂肪) 150mg/dL以上 高TG血症

※日本動脈硬化学会編 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版より

 

LDLについては140mg/dL以上で高LDLコレステロール血症、120~139mg/dLでは境界域、要は予備軍という事で必要に応じて治療を行います。

 

HDLについては40mg/dL未満で低HDLコレステロール血症、中性脂肪の多くを占めるトリグリセリド(以下TG)については150mg/dL以上で高TG血症となります。

 

これらは空腹時に採血を行うことで判定します。

リポ蛋白とは?

 

続いてリポ蛋白についてお話します。コレステロールは脂質、つまり油ですから水と馴染みません。このままでは血液中を移動する事ができないのです。

 

そこで登場するのがアポ蛋白と呼ばれるタンパク質です。アポ蛋白はよく船に例えられ、アポ蛋白に乗客が乗った状態をリポ蛋白といいます。

 

リポ蛋白にはカイロミクロン、VLDL、LDL、HDLなどがあり、それぞれ乗客が異なります。

■リポ蛋白の種類

カイロミクロン(CM) 乗客にTGが多い
超低比重リポ蛋白(VLDL) 乗客にTGが多い
低比重リポ蛋白(LDL) 乗客にコレステロールが多い
高比重リポ蛋白(HDL) 乗客にコレステロールが多い

かなりザックリですがこんな感じで認識して下さい。

 

ここではまずLDLとHDLの役割についてお話します。LDLとHDLはどちらもコレステロールを運びますが、運び方が異なります。

 

LDLは体の各組織にコレステロールを運ぶ。HDLは組織で余ったコレステロールを回収して肝臓に運ぶ。つまり我々にとってはLDLが悪、HDLが善となります。

 

LDLに乗っているコレステロールを悪玉コレステロール、HDLに乗っているコレステロールを善玉コレステロールと呼ぶのはここからきています。

 

続いてカイロミクロンについて。カイロミクロンの主な乗客はトリグリセリドでしたね。これは食事から摂ったものが多くを占めます。

 

カイロミクロンはリポ蛋白リパーゼ(LPL)という酵素の作用を受けると、トリグリセリドの一部が脂肪酸とグリセリンに分解されます。

 

このカイロミクロンからトリグリセリドが少なくなった状態をカイロミクロンレムナントといいます。カイロミクロンレムナントは肝臓に取り込まれ、VLDLとなり再び血液中に分泌されます。

 

ただ過剰になると肝臓が受け付けず、血液中に残ります。カイロミクロンレムナントは中性脂肪が少なくなった事で小さくなっており、血管壁に侵入しやすいため動脈硬化の原因となる危険性があります。

 

そしてVLDLについて。VLDLも主な乗客はトリグリセリドであり、カイロミクロンと同様にLPLの作用を受けると、トリグリセリドの一部が脂肪酸とグリセリンに分解されます。この状態をVLDLレムナントといいます。

 

VLDLレムナントも肝臓に取り込まれます。そして肝性トリグリセリドリパーゼ(HTGL)という酵素によりLDLになります。

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アトーゼットの作用機序と特徴

エゼチミブの作用機序

小腸壁細胞には小腸コレステロールトランスポーター(Niemann-Pick C1Like 1:NPC1L1)が存在します。NPC1L1はコレステロールの吸収に関与するタンパク質です。

 

コレステロールは食事中と胆汁中に含まれるものの二種類がありますが、どちらもNPC1L1を介して小腸に取り込まれます。

 

ゼチーアはNPC1L1の働きを邪魔する作用を持ちます。これによりコレステロールの吸収が阻害されるのです。

 

小腸から肝臓へのコレステロールの取り込みも減少しますので、肝臓はLDL受容体の数を増やすという事を行います。LDL受容体はLDLに乗っているコレステロールを取り込む働きがあり、この数を増やせば更に血液中のコレステロールを減らす事ができます。

 

エゼチミブは肝臓でグルクロン酸抱合を受けた後、胆汁中に排泄されますが、再び小腸から吸収される腸肝循環を受けるため、小腸に長時間作用する事ができます。

 

また肝薬物代謝酵素が代謝に関与しないため、相互作用が比較的少ないこと。コレバインなどの陰イオン交換樹脂と異なりコレステロールの吸収を選択的に阻害するため、脂溶性ビタミンの吸収には影響しないことも特徴として挙げられます。

アトルバスタチンの作用機序

上の画像を見て下さい。食事により体内に入った糖質、脂質、タンパク質が分解されていく過程でアセチルCoAができます。肝臓内ではこのアセチルCoAを材料としてコレステロールが作られます。

 

途中少し省略しながら進めていきますが、アセチルCoAはHMG-CoAとなり、HMG-CoAにHMG-CoA還元酵素が作用するとメバロン酸となり、コレステロールができます。そしてコレステロールを材料として胆汁酸ができます。

 

アトルバスタチンはHMG-CoA還元酵素の働きを邪魔します。すると肝臓内のコレステロールが減少すると肝臓は「胆汁酸などが作れなくなる!血液中から取り込んでしまえ!」と不足分のコレステロールを血液中から補おうとします。

 

具体的にはLDL受容体の数を増やすという事を行います。LDL受容体はLDLに乗っているコレステロールを取り込む働きがあり、この数を増やせば血液中のコレステロールを減らす事ができます。

 

つまりアトルバスタチンの作用はHMG-CoA還元酵素の働きを邪魔し、間接的にLDL受容体の数を増やす事で血液中のコレステロールを減らすというものになります。

アトーゼットの副作用

 

便秘、下痢、腹痛、腹部膨満、悪心・嘔吐、発疹、ASTやALT等の肝機能データの上昇などが報告されています。

 

稀ではありますが、横紋筋融解症に注意が必要です。

 

横紋筋融解症は骨格筋の細胞が壊死することで、筋肉の成分であるミオグロビンやクレアチンキナーゼが血液中や尿中に流出するというもの。これらの成分により腎臓の尿細管が傷害され、急性腎不全を起こす可能性があります。

 

特に腎機能が低下していると薬の排泄が低下しやすくなりますし、また、ベザトール等のフィブラート系の薬との併用によっても横紋筋融解症のリスクが高まるため、腎機能が低下している方は両者の併用は原則禁忌となります。

 

横紋筋融解症の初期症状としては

筋肉の痛み、手足のしびれ、こわばり、だるい、力が入らない、尿の色が赤くなる

などがあります。これは覚えておきましょう。

 

横紋筋融解症は服用後半年以内に出現しやすいと言われていますが、長期間服用後にいきなり出現する可能性もあります。服用中の血液検査は必須でが、医療機関できちんとフォローしてくれると思います。

アトーゼットの注意事項

 

アトルバスタチンは脂溶性で肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されます。そのため、CYP3Aを阻害する作用を持つC型慢性肝炎治療薬テラビック(テラプレビル)、ヴィキラックス(オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル)とは併用禁忌となっています。

 

また服用中はグレープフルーツ(ジュース)の摂取も控えましょう。グレープフルーツの成分であるフラノクマリンはCYP3Aを阻害するため、アトルバスタチンの血中濃度が上昇し、作用が強く出てしまう可能師があります。

 

服用中どうしても柑橘系を摂りたくなった時は、フラノクマリンを含まないレモンや温州みかん、バレンシアオレンジ、かぼす等の柑橘系で我慢しましょう。

 

アトーゼットの服用により、動物実験で胎児に発育の抑制(ラット)や奇形(ウサギ)が報告されています。またラットで乳児への移行が認められていますので妊婦、授乳婦の方は禁忌となっています。

 

重篤な肝機能障害のある方も禁忌となります。理由として、肝臓に特異的に作用する事で症状が悪化する可能性、また肝臓での代謝が低下することで血中濃度が上昇する可能性もあるためです。

 

それではアトーゼットについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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