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エビリファイ(アリピプラゾール)の作用機序と副作用|非定型抗精神病薬


今回は抗精神病薬のエビリファイについて解説します。統合失調症や双極性障害における躁状態の改善、うつ病、小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性に対して用いられている薬です。

 

後発品は2017年6月に発売予定ですが、適応が統合失調症のみとなっているため、使用する患者を限定する必要があります。

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エビリファイとは?

 

まずは名前の由来からいきましょう。 「~することができる」を意味するAbilityと「~にする」を意味するfyを組み合わせABILIFY:エビリファイと命名されています。一般名はアリピプラゾールです。

 

エビリファイの作用を簡単に説明すると「ドパミンやセロトニンの働きを調整することで、統合失調症の症状を改善する」となります。

 

それではまず統合失調症についてお話していきましょう。

統合失調症とは?

 

統合失調症とは、妄想や幻覚などの症状が起きてしまう精神疾患です。脳内でうまく情報の伝達・統合ができなくなってしまうために様々な症状が引き起こされてしまいます。

 

情報の統合ができなくなる、つまり統合を失調する病気であるため、統合失調症と言われています。

統合失調症の原因と起こるメカニズム

 

統合失調症の原因と言われているものはいくつか存在していますが、そのどれか一つが原因となることは少なく、多くの場合、様々な原因が複雑に絡み合って発症します。

 

統合失調症の原因となるものは、遺伝や胎児期の障害、脳の萎縮などがありますが、はっきりと断定できるものではありません。さらに、発症しやすくなる性格上の問題や環境からのストレスなど、その原因は千差万別です。

 

実際になぜ発症するのかも、まだはっきりとはわかっていません。ですが、脳内の情報伝達に何らかのトラブルが生じて起きているということは少しずつ判明してきました。

 

脳内の情報伝達物質であるドパミンやセロトニンの過剰分泌、もしくは逆に分泌不足によるものであるとされています。

統合失調症の症状

 

統合失調症の症状は非常に多彩で、そのすべての症状を理解するのは困難です。その中でも代表的な症状は陽性症状と陰性症状とに区別され、それらは脳内伝達物質の分泌量が関与して発生しています。

 

陽性症状とは実際にはないものが存在していると感じる症状、陰性症状とは感情が鈍くなり、意欲が起きなくなってしまうという症状です。

陽性症状

陽性症状の代表が幻覚・妄想です。実際には存在していない感覚を感じてしまうのが幻覚であり、幻覚の中でも代表的なものに幻聴があります。自分を否定する言葉や、監視しているような言葉が頭の中に聞こえてきてしまうというのが一般的な症状です。

 

妄想とは、非現実的なものを実際に起きていると信じ込むことであり、周囲の人が悪口を言っているなどの被害妄想や自分がアイドルであると思い込むなどの誇大妄想があります。陽性症状は主に中脳辺縁系におけるドパミンの過剰が原因と考えられています。

陰性症状

陰性症状は陽性症状から遅れて起きることが多い症状です。感情が鈍くなり行動に対する意欲が低下してしまう症状ですが、陽性症状に比べるとその症状がわかり辛いことにより、病気ではなく社会性がないなどの誤解を生んでしまう側面を持っています。陰性症状は主に中脳皮質系におけるドパミンの低下が原因と考えられています。

 

統合失調症である場合、自分が病気にかかっているという認識ができなくなってしまうことが往々にしてあります。これも統合失調症に特徴的な症状と言えるでしょう。

統合失調症の分類とそれぞれの特徴

 

統合失調症は代表的な分類が3つ存在しています。「破瓜型」「妄想型」「緊張型」の3つが代表的な病型で、そのほかにも「分類不能型」「統合失調症後抑うつ」「残留型」「単純型」が存在していますが、今回は一般的な3つを紹介します。

破瓜型

日本で最も多い病型で、アメリカでは「解体型」とも呼ばれています。十代前半の若い世代を中心に発症し、陰性症状が主症状です。感情が鈍くなっている時と過度に敏感になっている時が混在しており、意思疎通が困難な病型です。

妄想型

幻覚・妄想の陽性症状が主症状の病型で、世界では最も患者数が多い病型です。陰性症状はほぼなく、治療の面では進めやすいと言われています。

緊張型

若い世代で発症しやすい病型です。幻覚や妄想も症状としておきますが、それよりも特徴的なのが、急激な叫び声や暴力などの興奮状態と呼びかけに反応を示さず体を硬くして動かなくなる昏迷状態を呈することです。緊張型は薬の効果が出やすい病型なので、治療は比較的に進めやすいと言われています。

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エビリファイの作用機序と特徴

 

エビリファイは他の抗精神病薬に比べて安全性が高いとされています。明確な作用機序は不明とされていますが、ドパミン受容体とセロトニン受容体に対する作用が、エビリファイの効果を発揮していると考えられています。

 

統合失調症などの精神病では、脳内のドパミンの働きが過剰になっていることにより、様々な症状を呈しているとされています。そこで、ドパミンの働きを抑えていくことにより抗精神病作用を発揮していくのですが、今度はドパミン量が不足することで、すくみ足や筋固縮、仮面様顔貌を呈するパーキンソン病症状を惹き起こしてしまいます。

 

ちなみに、薬剤や脳血管障害などの原因がはっきりとしているものをパーキンソン症候群、薬剤などの原因が特定できないものをパーキンソン病と呼び区別されています。

 

初期の抗精神病薬では、ドパミンを遮断することに注力しているため、パーキンソン症候群の副作用が多く報告されています。そこで、エビリファイではドパミン受容体を完全に遮断するようにはせず、部分的に遮断するという新たな働きを持ち合わせるようにされました。

 

このような働きを持つ医薬品をパーシャルアゴニスト(部分作動薬)と呼び、受容体を完全に起動させる一般的なアゴニスト(受容体作動薬)とは異なるメカニズムを持つ医薬品として分類されます。

 

パーシャルアゴニストではドパミン受容体が常に一定の割合で働くようにしているため、ドパミンが過剰になっている場合にも不足している場合にも、正常な状態へと調節する作用を持っているのです。

 

これにより、いままでの抗精神病薬につきものだったパーキンソン症候群の副作用を少なく抑えることが可能になります。

 

またエビリファイはセロトニン受容体に対しても作用します。ドパミンの放出を抑制する作用を持つセロトニン2A(5-HT2A)受容体に対しては阻害作用を有し、それによってドパミンの放出を促進します。

 

さらに、セロトニン1A(5-HT1A)受容体に対してはパーシャルアゴニストとして働き、抗不安作用などの発揮に貢献するのです。

 

エビリファイはその作用が限定的であり、標的としている受容体以外にはほぼ作用することがありません。そのため、副作用が他の抗精神病薬に比べて少ないのですが、逆にそれによって、鎮静効果が低くなってしまうという欠点も存在しています。

 

エビリファイの剤形には普通錠、OD錠、内用液、注射薬があります。

エビリファイの副作用

 

エビリファイには様々な副作用が報告されています。発生しやすい副作用は傾眠・不眠などの睡眠障害、振戦、アカシジア、体重増加や減少、悪心・嘔吐などです

 

エビリファイは錐体外路症状(EPS:extra pyramidal symptom)や高プロラクチン血症は少なめですが、錐体外路症状のうち、アカシジア(じっとしていられない、足がムズムズする、そわそわするなど)は他の抗精神病薬に比べて発生頻度が高く、精神症状の悪化と区別できるように十分な注意が必要です。

 

重大な副作用の報告としては、強度の筋強剛や血圧の変動、発汗等に引き続いて発熱が起きる悪性症候群、唇などに不随意運動が起きる遅発性ジスキネジア、麻痺性イレウス、横紋筋融解症、低血糖や糖尿病性ケトアシドーシス・糖尿病性昏睡、無顆粒球症・白血球数減少、肺塞栓症・深部静脈血栓症、肝機能障害、痙攣があります。

 

糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、悪性症候群については致命的な経過をたどり死亡例も存在していため、その前兆症状に十分な注意を行い、患者やその家族に対しても対処方法を理解して頂く必要があります。

悪性症候群の症状:筋肉がこわばる、汗をかく、38度以上の発熱など
糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡の症状:口渇(口がかわく)、いつもより水を多く飲む、多尿(尿が多く出る)など

エビリファイの注意事項

 

中枢神経抑制作用がある医薬品を使用している人では、その作用が過度に増強されてしまう危険があるために禁忌とされており、受容体の遮断作用の影響を考慮して、アドレナリン製剤は併用禁忌とされています。

 

うつ病の治療では自殺企図に対する注意が必要です。患者のみではなく、必ずその家族に治療に対する理解を得て、協力する態勢を整えて頂く必要があります。

 

妊娠中の使用に関しては、流産の可能性や胎児への影響も十分に考えられるため、有益性に関して医師の判断を仰ぎ、自己判断で行わないように注意しましょう。

 

特に抗精神病では医薬品の用量を繊細にコントロールしなければいけないため、注意が必要です。また乳汁中への移行も確認されているため、服用中は授乳を避けるようにして下さい。

統合失調症の治療について

 

統合失調症の治療は、基本的に薬物療法が中心になります。ですが、薬物療法のみに頼るのではなく、本人や家族の心理的なケアも併用しなければ、再発率が高くなってしまうことが経験的に判明しています。

 

薬物療法に合わせて精神療法やリハビリテーションを加えることにより、良好な経過となる可能性が高いことが知られています。治療をする上で大切なことは、決して治療を焦らないことです。正しい知識と正しい治療、周囲のケアも含めて総合的に治療していくことが望まれます。

 

統合失調症は精神に変調を起こしてしまう病気であり、自分では気づきにくい病気です。一人で悩まず、違和感を感じたなら周囲と相談してみましょう。

 

それではエビリファイについては以上とさせて頂きます。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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